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VoIP基礎知識

VoIP基礎知識 序章  「はじめに」
VoIPについて簡単に説明しています。「アナログ」から「デジタル」、従量課金から定額課金とIT化の流れは変わってきています
VoIP基礎知識 1章 「データと音声の統合ネットワーク」
「電話と交換機」、「電話の規格」電話機の接続インターフェース、電話の用語などについて説明します。
VoIP基礎知識 2章 「VoIP製品とLANdeVOICE」
市場に出ているVoIP製品の特徴や「LANdeVOICE」の特長、使用方法について説明します。
VoIP基礎知識 3章 「VoIP導入にあたっての課題」
VoIPを導入するにあたって、検討すべきことや準備しなければならないことを簡単に説明しています。

2章 「VoIP製品とLANdeVOICE」

 VoIP製品は高い?安価な製品もある?

 従来のVoIP製品は主に通信事業者向けや大規模なシステム用の製品が多く一般の企業が電話料金をコストダウンするための装置は少なかったと思います。
また大規模なシステムを前提とするケースが多く、呼制御サーバが必要だったり構築の際には専門のネットワーク事業者が実施するなど高価なイメージがありました。
多機能な製品は、それなりに価値はあると思いますが、これらは主に通信事業者向けの機能であったりCTIを実現させるための機能であったりします。一般企業で必要のない機能は、ないほうが良い場合があります。なぜならば、必要のない機能であっても、そのぶん割高になり、またシステムが複雑で維持費もかかります。
 大規模事業所向けのVoIP製品を購入してもネットワーク回線が細かったりルータがそれに対応していなければ、宝の持ち腐れになってしまうことがあります。さらに十分高速でありネットワーク品質もそれなりに整えられていることを前提に製品化されていることがありこれらのVoIP製品の能力を十分に発揮する為にはネットワーク投資もそれにみあっている必要があります。
本支店間は同時に8通話必要としても地方の支店は1〜2通話できれば十分ということが多々あります。地方の支店に設置するVoIPはできるだけ小さく安価で保守も容易な装置であることが臨まれます。

 回線の選択はVoIPのシステムを構築する上でもっとも重要なのがどのような回線を使ってネットワークを構築するかです。NTTのデジタルアクセスやデジタルリーチといったデジタル専用線や日本全国に支店が分散しているような場合には公衆フレームリレー網、これからはIP-VPNネットワーク(日本テレコムのPRISMなど)が使われるでしょう。
また数百メートルの距離であればわざわざ回線を借りなくても無線ルータを使うという選択があります。
さらに海外の拠点とはインターネット回線といった維持管理コストを重視したネットワークで利用することを前提としたVoIP製品を選択することが重要になります。

 次に専用線の通信費について具体的に数値をあげて説明します。
例えば東京と大阪間400Km 同時通話回線数8回線必要とします。LANdeVOICEでは同時に8通話する為には128Kbpsのデジタル回線が必要になりNTTコニュニケーションのデジタルアクセス128(シンプル、タイプ1)で月額11万円弱の費用になります。
それに比べ大規模向けのVoIPでは8通話する為には最低でも196Kbpsの回線が、VoIPの性能を引き出す為には256Kbpsの回線が必要といわれています。256Kbpsの専用線をひくとなるとNTTコニュニケーションのHSD256では月額約50万円となります。
これだけコストの差があって音質を比べても全く遜色ないのです。
これは数拠点を専用線で接続するような規模では必要としない情報を常に送っているために1通話あたりの情報量が多くなってしまっているからです。
必要な投資だけを行ない無駄な費用を押さえる為にはVoIPの選択が重要になることがいうまでもありません。

 そこでLANdeVOICEをご説明します。
このVoIP製品は、接続される双方が数回線と小規模な事業所間での導入も考え開発されています。細い回線でも多少のパケットロスが発生しても会話ができ、またPB信号やFAXも使え小型で安価で取り扱いが簡単であることを目指して作られています。
接続するアナログインターフェースに合わせて製品の種類もそろえられ現在お使いのボタン電話主装置やPBX、公衆網とも容易に接続が可能です。
まさに企業の内線電話の代わりになり、コストダウンを実現できる製品です。使っているOSもパソコン用OSではなく、専用にカスタマイズされた独自のリアルタイムOSなので安定しており、専用DSPも搭載しているので音質も優れています。

 一昔前までは、ネットワークは専門家でなければ構築するのは難しかったですが、ここ数年のインターネットなどの普及によりネットワークの知識が普及し各企業のなかにもネットワークに詳しい方が増えてきました。
回線速度が128Kbps程度であればパケットの優先制御のQoSを持ったISDN対応のルータは5万円未満でもあります。ネットワーク装置がいろいろとある中で、どのような装置とネットワークを組み合わせれば目的にあったシステムを構築できるかを上手に考えることにより安価なルータなどとの組み合わせで,十二分にVoIPのメリットは出せます。

 VoIPの構築
例えば、VoIP機器であるLANdeVOICEを使って構築した場合で説明しましょう
「2拠点の電話機の接続」

 単独電話機/FAXとの接続しての利用例
一般家庭や個人事務所などボタン電話装置やPBXを利用されてない方の接続方式です。モデルは「PA01」という機種になります。
電話機からは普段一般公衆網を使うようにスルー状態にしておきます。発信するときは発信者の選択によって引込みネットワーク回線経由で電話を掛けます。LANdeVOICEは電話番号を監視してネットワーク経由か 一般回線経由での通信か自動選択します。

●発 信
発信の為にオフフックすると公衆回線網からのダイヤルトーンが聞こえます。最初の選択信号が netcnfg.ini の LINE項目で設定されたコードであった場合にはその時点でLANdeVOICEの給電回路に引込みます。(このコードには通常*または#を使います)引込まなかった場合には公衆回線網への発信になります。内部に引込んだ場合には続いて送られてくる選択信号と内部の電話番号テーブル(phone.ini)を比較しネットワーク経由での発信処理を行います。

●着 信
一般公衆網側(LANdeVOICEのLINE側)から着信(RING信号)が来た場合にはLANdeVOICEはその通話が完了するまで待機します。(この間にネットワークから着信要求が来てもビジーステータスで応答し着信を拒否します。)
待機状態でネットワークより着信要求が来た場合にはTEL側をLANdeVOICE内部のリング発生回路に接続し端末のベルを鳴らします。後は普通の電話とおなじようにオフフックして着信し通話を開始します。
上記の発着信以外の場合には、アダプタが一般公衆網を選択して通信します。
「2拠点のPBXの接続(2線式アナログ回線)」

 オフィスで利用する場合モデルは「PB01」という機種にはTEL側コネクタにPBXのアナログ回線I/Fと接続し、常時回線引込みモードで利用します。このような接続形態により任意の内線端末がネットワーク経由で電話を発着信することができます。

●発 信
端末からの最初の選択信号が"0"の場合にはPBXが公衆網を選び、"9"ならばLANdeVOICEに接続された外線を選ぶようにPBXを設定して利用します。
ネットワーク経由で発信する手順は下記のようになります。
1."9"発信でアダプタに接続する様にPBXを設定します。 2."9"発信でアダプタからのダイヤルトーンが聞こえたら登録された短縮番号をダイヤルします。3.LANdeVOICEは内部テーブルにより、IPアドレスに変換して発信します。

●着 信
ネットワークから着信要求が来た場合、回線が未使用状態ならば着信処理を開始します。PBXに対し呼び出し信号(RING)を発生させネットワーク経由で着信があったことをPBXに伝えます。
PBXはこのRINGを受けてどの内線端末に着信させるかはPBXの設定によります。
ネットワーク経由で任意の内線端末に着信させるための仕掛けとしてLANdeVOICEは「簡易DID機能」を持ってます。この「簡易DID機能」とはPBXへRINGを発生させPBXがオフフックした後に内線番号のDTMF信号をPBXに送る機能です。PBX側は着信後内線番号を受信できる機能が必要になります。

中小規模オフィスの多機能ボタン電話機の場合には問題なく使え、FAXもPBX経由である場合には特定の内線電話を呼び出す必要があるが難しい場合があります。

「2拠点のPBXの接続(OD回線)」
 一般的なアナログ回線インターフェースは物理的には2線式すなわち1対(2本)の線だけです。
この2本の線に両方向からの音声と直流電圧を多重させて発信から着信通話、終話と行っています。その為に各装置内のアナログ回路では2線4線変換を始めとして様々な処理を行っています。
OD回線とはPBXとの1回線アナログ専用線インターフェースで 従来はTDMA装置などとの接続に標準的に使われていた信号です。OD回線では音声も出力と入力とそれぞれ1対づつの4線であり、この4線とは別に1本づつの制御信号があります。その為に音声の劣化がなくまた発信開始や終話などの信号を双方から独立に出すことができるという利点を持つインターフェースです。