全国規模の高速IP網を再構築
地上波テレビ放送のデジタル化に代表されるように映像、音声のデジタルデータ化がいよいよ本格的に企業内、家庭内に普及する時代が訪れている。それと歩調を同じくしてデジタルデータの転送に欠かせないIPネットワークの再構築、とりわけ高速化、大容量化が急速な広がりを見せている。
T電力株式会社もまた本店を中心として高速IP網の再構築を進め、2003年度に全店を結ぶ高速IP網の整備を実施した。これにより本支店の主要店所はGbpsクラスの超高速回線で結ばれ、支社・営業センターを含むすべての拠点がMbpsクラスの高速ネットワークで接続されるようになった。従来IPネットワーク上に流れるデータ量に応じて制限を加えなければならなかったネットワーク使用の制限が緩和され、音声のようなトラフィックを必要とするデータもネットワークに乗せることが可能になった。これを契機として、K支店では給電一斉情報連絡装置IP化が実施された。
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2個所の給電所から県内全支社・制御所・営業所への緊急情報連絡
給電一斉情報連絡装置は、電力系統の事故時においてお客様対応および事故復旧作業等に必要な情報を給電所から関係各所(総務・営業・配電・工務・火力の各グループ)へ的確かつ迅速に連絡する装置である。本装置は、給電情報連絡の重要性から、支店一斉放送装置とは別の独立したシステムとして運用している。
従来の装置は電話交換機の機能を利用した専用の電話装置をもとに開発されたものであったが、装置の老朽化により保守が困難、端末の移設・新設時には必ず専用の配線工事と場合によっては端末制御装置の増設が必要となり連絡したい個所全てに放送することが難しいなどの課題を抱えていた。
そこで給電一斉連絡装置の再構築が検討課題として挙がった。 |
給電一斉情報連絡装置システム再構築の検討過程
T電力K支店の給電一斉情報連絡装置システムの再構築検討は、取引のあるシステムベンダN社がIPネットワークを利用した監視ソリューションとして提案する中で、通話用途としてVoIP
(Voice over IP)の技術に着目し、LANdeVOICEの利用検討を行い、インターネット上から製品情報を検索した結果、LANdeVOICE同報システムを発見し、同システムを拡張した形で給電一斉情報連絡装置システムへの適用を提案した。これに対しK支店T工務所(当時)の2名の担当者が課題研究として取り組み、N社が技術協力の形で両氏に協力して様々な観点からシステム再構築に関する検証が行われた。この際重点項目として挙げられたのが、@コスト、A拡張性、B保守性である。LANdeVOICE同報システムはこれら重点項目を全て満たしていたのである。 |